世界を舞台に企業×アスリートが共に目指す 平レオンオリリアス×尻家正博

シキボウ株式会社 代表取締役社長執行役員 尻家正博(以下、尻家)と、パデルプレーヤー 平レオンオリリアス選手(以下、平)。パートナーシップを結んで、初めての対談の様子をお送りします。

アスリート×ビジネス

—— パートナーシップを選んだ理由は

尻家:パデルを本格的に始めてからは、まだ5年ほどですよね。もともとテニスの経験があったとお聞きしましたが、その経験があったからこの速さで日本のトップレベルにまでになれたのでしょうか?

平:これにはいろんな側面が関係していると思います。僕は、夢中になってしまうと、とことん突き詰めたいタイプ。パデルを始めたころ、長い休みが取れたこともあって、親を説得して2か月間独りでスペインに行きました。とにかく毎日全力でやりました。もちろんテニスの経験があるということも大きいかと思います。何より、今でも楽しい、やっていて楽しくてしょうがない、それが自分の原動力になっています。

尻家:やはり一番はそこなんでしょうね。楽しくてしょうがないものにめぐり会えたのも運命でしょうか。これからアスリートとして上を目指していく途中で、アスリート人生だけに集中したいと思ってもおかしくないですよね。一般的なスポンサー契約ではなく、企業と協業(パートナーシップ)をしたいと思ったのはなぜですか?

平:コロナの期間中に、スポーツが全て止まったことで、スポーツって世の中にとってどのような価値をもたらしているんだろうとすごく考えさせられました。その期間に今までは全くやったことのないプログラミングを独学して、ベンチャーの会社に入りました。そこで色々見て経験する中で、スポーツ選手として、競技をしながら企業名を広めていくだけではなく、その企業様の事業に寄り添って一緒に取り組んでやっていきたいという想いが芽生えました。今までアスリートではこの両軸を持って活動されている方の事例が少ないということもあって、自分自身の人生をかけた挑戦として、頑張っていきたいなと思いましたね。

舞台は世界

—— 平選手から見てシキボウはどんな会社に見えましたか?

平:先進的で常に前を見て進んでいる企業さんだなという印象を受けました。シキボウさんを知ったのは、パデルの試合で中東に訪れた時です。パデルって中東でものすごく盛んなんです。中東で行われる試合は、見に来るほとんどの人がトーブ(中東の男性民族衣装)を着ています。聞くところによると彼らはフォーマルからカジュアルまで、シーンを問わずトーブを身に着けており、こういう日常的に着るものを、日本の生地で作ったらすごく快適なものができるんだろうなと思っていました。そこでネットでリサーチしたところ、すぐにシキボウさんの名前が出てきました。中東地域というと、内情や文化が分からず、ビジネスを広げていない企業さんも多い中で、昔から中東にビジネスを展開しているシキボウさんは、ほんとに単純にかっこいいなという印象でした。

尻家:うれしいですね、ありがとうございます。中東とのビジネスが始まったのはもう40年くらい前になります。私が入社する前から中東ビジネスをやっていて、昔から中東では当社のマーメイドマークはトップブランドと認知されていると聞いています。

平:中東のいいところは、最高級のクオリティを求める傾向にあることだと思っています。パデルでは超ベテランの有名なコーチを雇い、世界的に見ても最高レベルのパデル施設を造り、最高のジムを設け、最高のリカバリー施設を用意するなど、一切妥協しません。そういった精神から、日々身に着けるものにも高いクオリティを求めます。その期待にシキボウさんの繊維技術が届いているのではないかと感じます。

「ありたい姿」が見える

—— 尻家社長は企業として、平選手は個人として、それぞれの存在意義とは何でしょうか?

尻家:私が社長に就任したのは今から2年半前の2021年6月で、コロナ感染症蔓延の真っただ中でした。今までの延長線上での経営というのが不可能となり、長期的に我々はどういうところを目指すのかを改めて考え、長期ビジョン「Mermaid2042」を作りました。「あなたにもっと寄り添い、愛されるシキボウグループへ」というフレーズを大切にしています。必要とされることで存在価値は生まれますが、ただ単に必要とされるだけではなくて、「シキボウの製品が好きだ」「シキボウのサービスが好きだ」そして「シキボウが必要だ」を超えて「ファン」になってもらえる会社にしたいという気持ちを込めています。そのような存在に成長していきたいと思っています。

平:僕には、日本の良質かつ持続可能性の高いモノ、経験、文化をどんどん世界に芽吹かせて行きたいという思いがあります。僕はアスリートとして日の丸背負って世界に行きます。海外の選手って、自分の国がナンバーワンだと言うことがすごく多いんですよ。それこそ中東地域の選手は、自分の国がベストであり、この国を背負って戦っているんだという想いがすごく強いです。そのような選手たちと話しているうちに、自分にとって日本って何だろう、自分の人生をどう生きたいのだろうと考えるようになりました。そして自分の生まれ育った日本という国のモノや文化でまだまだ世界に伝わっていないことを、自分が懸け橋になって繋げていきたいと思いました。ただ選手が広告塔となるのではなく、企業様に寄り添ったwin-winな関係性でやって行きたいと思っています。自分がイノベーションの中心点となって人や社会が大きく繋がり、そして世界にムーブメントを起こすような形を作りたいと思っています。アスリートとしてスポーツで成績を出すということはもちろんですが、企業様と一緒に「日本らしさ」を世界にどんどん届けていきたいです。

尻家:私自身はこのパートナーシップにおいて具体的に何かをどうこうしてほしいとは思っていません。投げやりな気持ちではないですよ(笑)。こちらからああしてほしい、こうしてほしいとお願いするよりは、平選手が今お持ちの考えのまま、アスリートの部分はアスリートとして精一杯頑張っていただき、ビジネスでもいろんな場面で一緒に取り組んでいってほしいです。当社は今年、ベトナムに現地法人を設立して、海外販売の体制が整いつつあります。そのようなタイミングで平選手とパートナーシップができ、海外への発信がどんどん増えてくれればいいと思っています。思うようにやってくださいね。

—— 最後に、大切にしている言葉を教えてください。

尻家:私は「誠実に」という言葉を大切にしています。私は基本的にわがままなんですよ、子供のころから(笑)。そんなこともあって、自分を律するためにもこの言葉を大切にしています。ものづくり企業として決して揺らいではいけない感覚だとも思っています。
これからも新しいことにチャレンジし、成長レベルを上げていく姿勢ではありますが、ベースとして誠実な姿勢は忘れないようにしたいと思います。

平:僕は「執着」です。執着って日本ではネガティブな意味で捉えられることがあるのですが、スポーツをやっているとよく「ポイントに執着する」というように、どうしても勝ちたい時があります。譲れない。そこでいかに踏ん張るかということが、スポーツに限らずどんな場面でも共通して大切だと感じています。クオリティを下げずにやりきるというのはアスリートとしても、人としても単純にかっこいいなと思うので、執着を自分の言葉にしてこれからの人生を頑張っていきたいと思います。

尻家:今日はありがとうございました。エネルギッシュさをそのままに、プレーヤーとして是非頑張ってくださいね。シキボウグループで応援しています。

平:ありがとうございます。シキボウさんの応援を力に変えて、全力で世界に挑戦していきます。